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絵とかなんとか色々置いておく場所です。
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なにやら、地上が騒がしい。

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「それでは太守。おやすみなさいませ」

 ふんわりと花吹雪に護られた風と共に姿が掻き消える。

 いつも通り、を装っているつもりなのか。
 しかし、その声は今まで聞いた事のないほどに疲弊しきっているのを、気付かぬ儂でもない。

 理由は、聞かない。なぜなら、聞いたところであの頑固者が答えるとは思えず、また聞かずとも想像が付く。
 

 しばらく前に月からの使者と言う兎達と天女達が、餅神とか呼ばれる憑喪神を頼ってきてからの事。
 闇に傾いた月の魔力を正常に正すため、地上から聖の力をぶつけて無理矢理均衡を取り戻す。
 その為に、この地に古来からある五行を解放するという荒事のため。

 確かに方法としては良いだろう。儂がかつてこの地に祝福を請うたのも、この地が五行の全てを備える神住まう地であればこそ。
 しかし、この地の五行は今、儂を封じる為の封力として使われている。
 戦乱を忘れた世に生まれたあの憑喪神はそれを知らぬし、知ろうともせぬ。
 冒険者達があの憑喪神の依頼を達する度、力が行使されるその度に地が震えるは、土地が力を搾られるに震えるというに。
 封印と解放。
 相反するその動きは、そのまま土地そのものたる千也に疲労として反射する。
 疲労で済むだけならいい、とは言えまい。
 本来は深い傷として呪詛返しされるものを、桜に預けた力を以ってこれまた無理矢理に軽減しているのだ。

「まったく、あれにも困ったものよな」

 普段ならば、封印の掛け直しに来る千也を前にすると、手を動かすことも出来ないほどに地に縛り付けられる。
 しかし、あの術式が行使されるようになってから、千也を前にしても縛られる感じがしない。それほどまでに弱っているのを、あれも知らぬではないであろうに。

 社そのものに縛られるあの将達と違い、我を縛るは地そのものの封印。
 今ならば、おそらくこの社を抜ける事も出来るだろう。
 千也をこの腕に捕らえる事も出来るだろう。

 しかし。

「……ふ、儂も焼きが回ったな」

 出来る事を、出来ぬ振りをする。
 今も、縛られた振りをしていた儂を、あやつは笑うだろうか。

「そういう気分でない。そう、それだけの話だ」

 世界の眠りが解ける。そろそろ将達が起き出す頃だろう。

『……羨ましくて嫉妬すらも起きませんね、本当に』

 一瞬だけ太刀から声がする。

「人の幸いなど、誰に計れるものでもないぞ。太刀の姫よ」




 ああ、騒がしさが待ち遠しいなど。

 傍らの杯に、九字を切る。



 


 

 あやつの顔が曇る様を見るくらいならば、儂はいくらでも地に縛られよう。

 あやつには、笑っていてもらわねば困るのだ。


***************************************


アマツの兎クエにて、餅神様の呪詛ってどんななんだろうねー? という話の元、作成。
なんか違う気もするがキニシナイ方向で。
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ラグナロクオンラインのアマツ萌え&自キャラによる人形遊びな実験的短編置き場

といいつつ、いろいろ詰め込んであります。

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