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絵とかなんとか色々置いておく場所です。
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暗い夜の帳が落ちてからの、手合わせ。


戦闘描写習作

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刀が走る音。
姿すら見えない、相手。
しかし。

「手加減無用といったのは、貴方ですからね」

四方から時間差で襲い来る刃を受け流して、相手の首筋を狙う。
紙一重で避けられるのは、もちろん想定済み。
鞘で追撃するは、相手がいた場所の右側。

「おいおい、本気かい」

一瞬鞘に硬いものが当たった感触が腕に伝わるが、かまわず鞘をそのまま上に突き上げ、刃は左に薙ぐ。

「冗談でやっているように見えますか?」

「いんや」

へらりとした声だけが、いつもと同じに響く。
刃と鞘、両方にかすかな衝撃が加わる。

「そちらこそ、本気ですか?」

「そのつもりだがな」

声が背後で聞こえるが、刃が目の前に迫っている。
軽く後ろに飛んで、刀を結ぶ。

「やっぱ恐ろしいヤツだよ、お前は」

「それは光栄」

一瞬の鍔越しに言葉を交わして。
鞘で結びを解いて、飛び上がる。
着地点は相手の背後、になるはずの場所を見て。

「飛ぶときは、相手が絶対に動かない保障のあるときだけ、だろ?」

声が近くで聞こえる。

「それからもう一つ」

ぐるりと体をよじって。
突き出された腕を踏み台に、更に飛び上がる。

「相手の行動を、陽動するために」

鞘で背中を打って、地上へ追撃。
体勢を立て直される前に、首筋に刃を当てる。

「烈将が首、ここに取ったり」

「……お前さ、本当に忍びじゃないのか?」

「ええ。正真正銘、武家者ですよ。いかがでしたか?」

刀を引いて鞘に納めれば、相手の顔も、いつものへらりとした笑顔に戻る。

「ほんと、容赦ねえなお前は」

先ほどとまったく同じ、いつ動いたのかわからない速さで、頬に柔らかいものが当たる。

「続きは、俺の部屋な。湯浴びたらそのまま来いよ」

「ぬ、主殿っ!」

鼻歌交じりに館に戻る相手に叫ぶ。
……あの時、女だと主殿に知られてから、稽古後はいつもこうだ。
あの飄々とした背中を見ると。
私とは、本気で打ち合っていないのだろうと思う。
ため息をついて、刀を腰に差して。
そっと主殿の影を踏むようにして、歩いていく。
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ラグナロクオンラインのアマツ萌え&自キャラによる人形遊びな実験的短編置き場

といいつつ、いろいろ詰め込んであります。

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