絵とかなんとか色々置いておく場所です。
「……本当によろしいのか、陰陽方」
「良いも悪いも。私以外に務まることではありませぬ」
にこり、と笑ってみせる。
「確かに今は良いでしょう。新たに城主となられた吉朝様は呪術にも通じておられます」
禊の済んだ身で、他のものに触れることは出来ないから。
祭壇への段を一つはさんで、相対する。
「しかし、人は忘れるものです」
「ああ……」
「この天津を妖怪達から守るため。そして、彼らを守るため。
誰かが、封印を視ていなくてはならないのですよ。クウガ殿」
いつかの封印の儀に見たような、歪んだ顔をしている相手に笑ってみせる。
といっても、眉根の詰まり具合がほんの少し違うだけだ。おそらく、他の者が見たなら、既に封じられた彼以外は見破ることなど出来ないだろう。
「しかし、地神である貴方が……」
「だからこそ、です」
ほんの少しだけ震えている声を途中で切る。
「だからこそ。この身が輪廻する理由が出来るのですよ」
出来る限り近づいて。そっと、相手の頬に触れるか否かほどに手を伸ばす。
「この身が輪廻ることが、無為でないと、そう言えるのですよ」
真っ直ぐに見返すその瞳。普段は一寸たりと動かないその眼に、少し涙が溜まっているように見える。
ああ。やはり貴方は優しい方です、クウガ殿。
踵を返し、祭壇へ上る。
「さあ、早くお行きくださいませ。
貴方を呪式に巻き込んでしまっては、烈将殿に怒られてしまいます」
決して、振り返ることはしない。
禊の、最後の仕上げ。
祭壇の最上段。四方に据え付けられた松明が、激しく燃え上がる。
「畏み畏み八百万の神」
祈詞を紡ぎ、この地に集う霊に呼びかける。
かつては、妖が跋扈したこの地。
この平穏を、守るため。
「輪廻紡ぐ糸 我が繰糸の先 永劫に途切れざることを」
目の前には、正装の巫女。
禊を済ませたその身は、その本性をうかがわせるには十分すぎるほど。
「本当に、よろしいのか。陰陽方」
「良いも悪いも。私以外に務まるものではありませぬ」
にこりと笑うその顔はいつもどおり。
何を考えているのかまったく見えない、完璧な笑顔という名の仮面。
「確かに今はいいでしょう。新たに城主となられた吉朝様は呪術にも通じておられます。
しかし、人は忘れるものです」
「ああ……」
紡がれる静かな声は、真実。
「この天津を妖怪達から守るため。そして、彼らを守るため。
誰かが、封印を視ていなくてはならないのですよ。クウガ殿」
一段だけ離れたその場所で笑っている、まだあどけなさすら残る姿。
「しかし、地神である貴方が……」
「だからこそ、です」
静かな声が、響く。
「だからこそ。この身が輪廻する理由が出来るのですよ」
そっと、頬に触れるか否かほどのところまで手が伸びる。
「この身が輪廻ることが、無為でないと、そう言えるのですよ」
柔らかな微笑を残して細い手が離れて。
巫女の背中が祭壇を登っていく。
「さあ、早くお行きくださいませ。
貴方を呪式に巻き込んでしまっては、烈将殿に怒られてしまいます」
どこまでも静かな声が、背中から聞こえる。
巻き込まれたって、構いやしない。
何故、皆俺をおいていく。
背中は、何も応えずに祭壇の最上段に立った。
松明が激しく燃え、静かな声が紡ぐ祈りが、空に昇っていく。
「輪廻紡ぐ糸 我が繰糸の先 永劫に途切れざることを」
ああ……後世の俺がなんと言うかなど知らん。
俺の自己満足で良い。
たとえ輪廻の果て、忘れてしまっても。
何度でも、会えるように。
次の世でこそ
「……共に、長く笑いあえんことを」
「良いも悪いも。私以外に務まることではありませぬ」
にこり、と笑ってみせる。
「確かに今は良いでしょう。新たに城主となられた吉朝様は呪術にも通じておられます」
禊の済んだ身で、他のものに触れることは出来ないから。
祭壇への段を一つはさんで、相対する。
「しかし、人は忘れるものです」
「ああ……」
「この天津を妖怪達から守るため。そして、彼らを守るため。
誰かが、封印を視ていなくてはならないのですよ。クウガ殿」
いつかの封印の儀に見たような、歪んだ顔をしている相手に笑ってみせる。
といっても、眉根の詰まり具合がほんの少し違うだけだ。おそらく、他の者が見たなら、既に封じられた彼以外は見破ることなど出来ないだろう。
「しかし、地神である貴方が……」
「だからこそ、です」
ほんの少しだけ震えている声を途中で切る。
「だからこそ。この身が輪廻する理由が出来るのですよ」
出来る限り近づいて。そっと、相手の頬に触れるか否かほどに手を伸ばす。
「この身が輪廻ることが、無為でないと、そう言えるのですよ」
真っ直ぐに見返すその瞳。普段は一寸たりと動かないその眼に、少し涙が溜まっているように見える。
ああ。やはり貴方は優しい方です、クウガ殿。
踵を返し、祭壇へ上る。
「さあ、早くお行きくださいませ。
貴方を呪式に巻き込んでしまっては、烈将殿に怒られてしまいます」
決して、振り返ることはしない。
禊の、最後の仕上げ。
祭壇の最上段。四方に据え付けられた松明が、激しく燃え上がる。
「畏み畏み八百万の神」
祈詞を紡ぎ、この地に集う霊に呼びかける。
かつては、妖が跋扈したこの地。
この平穏を、守るため。
「輪廻紡ぐ糸 我が繰糸の先 永劫に途切れざることを」
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目の前には、正装の巫女。
禊を済ませたその身は、その本性をうかがわせるには十分すぎるほど。
「本当に、よろしいのか。陰陽方」
「良いも悪いも。私以外に務まるものではありませぬ」
にこりと笑うその顔はいつもどおり。
何を考えているのかまったく見えない、完璧な笑顔という名の仮面。
「確かに今はいいでしょう。新たに城主となられた吉朝様は呪術にも通じておられます。
しかし、人は忘れるものです」
「ああ……」
紡がれる静かな声は、真実。
「この天津を妖怪達から守るため。そして、彼らを守るため。
誰かが、封印を視ていなくてはならないのですよ。クウガ殿」
一段だけ離れたその場所で笑っている、まだあどけなさすら残る姿。
「しかし、地神である貴方が……」
「だからこそ、です」
静かな声が、響く。
「だからこそ。この身が輪廻する理由が出来るのですよ」
そっと、頬に触れるか否かほどのところまで手が伸びる。
「この身が輪廻ることが、無為でないと、そう言えるのですよ」
柔らかな微笑を残して細い手が離れて。
巫女の背中が祭壇を登っていく。
「さあ、早くお行きくださいませ。
貴方を呪式に巻き込んでしまっては、烈将殿に怒られてしまいます」
どこまでも静かな声が、背中から聞こえる。
巻き込まれたって、構いやしない。
何故、皆俺をおいていく。
背中は、何も応えずに祭壇の最上段に立った。
松明が激しく燃え、静かな声が紡ぐ祈りが、空に昇っていく。
「輪廻紡ぐ糸 我が繰糸の先 永劫に途切れざることを」
ああ……後世の俺がなんと言うかなど知らん。
俺の自己満足で良い。
たとえ輪廻の果て、忘れてしまっても。
何度でも、会えるように。
次の世でこそ
「……共に、長く笑いあえんことを」
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詩柳耶琴
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非公開
自己紹介:
ラグナロクオンラインのアマツ萌え&自キャラによる人形遊びな実験的短編置き場
といいつつ、いろいろ詰め込んであります。
このページ内における「ラグナロクオンライン」から転載された全てのコンテンツの著作権につきましては、運営元であるガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社と開発元である株式会社Gravity並びに原作者であるリー・ミョンジン氏に帰属します。
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なお、当ページに掲載しているコンテンツの再利用(再転載・配布など)は、禁止しています。
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