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絵とかなんとか色々置いておく場所です。
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 誰よりも速く戦陣を駆け抜ける、その後姿を追うのが好きだった。
 風の様に駆け抜けて、おいら達には怪我のないように。
 いつもヘラヘラ笑いながら、おいら達に気をかけてくれていた。
 誰よりも強くて、誰よりもやさしい、おいら達の御館様。
 クウガの旦那も良くしてくれるけれど、
 やっぱりおいら達の御館はあんただけだ。
 正宗様も捕まっちまって、今はどこに捕らわれてるかわかりゃしない。
 情けない。
 おいら達は、御館に何もできない。

「……なぁ、お前ら」

「へい?」

「お前らの主人の雪辱、晴らしたくはないか」

 ざわり。
 動揺が走る。

「少なくとも。俺はこのままでは気が済まん」

「だ、だけんどクウガ様。どうやって……」

「案ずるな、俺以上に腹に据えかねておられる方がいらっしゃる」

 ざわざわ。
 人が集まってくる。

「お前達の主を元に戻すことはできん。
 しかし、だからこそ」

 普段からおっかない声が、更に気迫を帯びていた。

「許してはならんことがあるということを教えてやろう」



 御館が捕らえられて半月後の夏の日。
 古狸の家に官吏が入っていった。

「なんじゃ、騒々しい」

「家老殿。叛逆罪の咎により、主上より裁きがあります。白砂までご同行を」

 手には、真新しい業物。
 その業物は、御館様のものだ。
 みなの声が揃って、家老の声がうるさそうに歪んでいた。

「往生際が悪いぞ、古狸」

「猛将殿。いかに貴公といえどその口は……」

「黙れといっておろう」

 ぎらりと睨む猛将久宗公を前に、古狸も黙るしかないのは見ていてすっとした。

「まず、その業物は儂の娘じゃ。それ以上汚い手で触られてはかなわん」

 有無をいわさず、手の業物をとられる。

「すべては白砂で聞かせてもらおうぞ。
 儂をコケにした報いくらいは受けてもらうぞ」

 蛇に睨まれた蛙って、きっとあんな顔なんだろうな、御館様。
 御館様にもあの時の家老の顔見て欲しかっただよ。


 あれから更に月日が経った。
 おいら達も、地獄に落ちるのかな。
 皆で御館様の社の前でお参りしただな。聞いててくれただか?


「御館様。おいら達、ずっと御館様の部下でいいだよな?
 死んだら、また仕えさせてくれるよな」

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詩柳耶琴
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自己紹介:
ラグナロクオンラインのアマツ萌え&自キャラによる人形遊びな実験的短編置き場

といいつつ、いろいろ詰め込んであります。

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