絵とかなんとか色々置いておく場所です。
悔いがない、といえば嘘になる。
決して、叶えられはしないけれど。
もしも、願ってもいいのなら。
「下らん諍いに首を突っ込みおって……
終いまで欺き通せばよかったのだ、馬鹿が」
封印の儀が行われるまでの僅かな時間。
面会に来てくれたのは、クウガだった。
俺は烈将、こいつは忍方。
立場は違っても、同じ師の元で学んだ仲間。
その生真面目な声も、眉根を寄せるいつもの顔も。
もう、かすんでよく見えない。
「馬鹿呼ばわりはねぇだろー、酷い奴だな相変わらず」
自分の声もくぐもって聞こえる。まるで水の中にでもいるみたいだ。
「煩い黙れ。忍びが情を持ってどうする馬鹿が」
物言いは師匠そっくりだ。クウガの方が硬い声音だけどな。
「いいじゃねえか、忍びだって人間だ。つってももう人間じゃねえがな」
そう、もうこのカラダは生身じゃない。
社に封ぜられる悪霊。それが今の俺。
生身で自由に動き回れないなんざ、退屈すぎて暴れたくなるだろうから。
そしたらきっと。俺は天津を壊しちまう。
だから、俺は御魂になった。
「……俺は、貴様が気に喰わなんだ」
きっと、こいつもそれを知っている。
「そーかい、俺は嫌いじゃなかったぜ」
にい、と笑ったつもりだが、相手にどう見えたかはこの際考えない。
霧が満ちているような視界の中、相手の生真面目な顔が少しだけ歪んだ気がした。
「クウガ殿、烈将殿。封印の儀、仕度が整いまして御座る」
法衣をまとった僧侶が視界の端に見える。
「分かった。すまんがもう少しだけ、待ってくれ」
少しだけ、クウガの声音が震えている。
「クウガよぉ、残った俺の部下の面倒、頼むな」
「……残った、と言っても一握りだがな。無碍にはせん……否、させんさ」
「ん、安心した。始めてくれ」
最期まで、俺は道化だ。
本当は、もっと言いたいことがある。
本当は、他に聞きたいことがある。
けれど。
きっと聞いてしまったら止まらなくなる。
「心残りが一つだけあるぞ、烈将」
クウガの声が、昔のような優しい声になっている。
「その姿になる前の貴様と、勝負をつけたかった」
……ったく、こいつは本当に相変わらずだ。
「今更言うなよ、馬鹿」
そいつは俺の科白だ。
お前は、俺が本気を出せる唯一の相手だったんだから。
祈詞が紡がれるたび、身体が軽くなっていくのを感じる。
「さらばだ、烈将。我が好敵手」
わざと格好付けた口調に笑いそうになる。
「おう、地獄に落ちたら遊びに来い」
手を振ってみせたつもりだけれど。
きっと相手には見えなかっただろう。
眠りに付くように。意識が落ちていく。
次に目が覚めるとき、俺の側には誰もいないはずだ。
永遠に続く暗闇。そこが、俺の世界になる。
決して悔いがない、なんて嘘だ。
願っても、叶えられやしない。
だから、瞳を閉じる。
瞼の裏に、日常を描く。
賑やかな庭。
ずっと側にいてくれた穏やかな笑顔。
優しくて、おっとりした声と。
誰よりも愛おしい、涼やかな声。
ああ、ちゃんと聞こえてるから、そんなに呼ぶなっつの。
「てめえら、花見行くぞ花見」
さぁ。叶わなかった宴をしよう。
決して、叶えられはしないけれど。
もしも、願ってもいいのなら。
「下らん諍いに首を突っ込みおって……
終いまで欺き通せばよかったのだ、馬鹿が」
封印の儀が行われるまでの僅かな時間。
面会に来てくれたのは、クウガだった。
俺は烈将、こいつは忍方。
立場は違っても、同じ師の元で学んだ仲間。
その生真面目な声も、眉根を寄せるいつもの顔も。
もう、かすんでよく見えない。
「馬鹿呼ばわりはねぇだろー、酷い奴だな相変わらず」
自分の声もくぐもって聞こえる。まるで水の中にでもいるみたいだ。
「煩い黙れ。忍びが情を持ってどうする馬鹿が」
物言いは師匠そっくりだ。クウガの方が硬い声音だけどな。
「いいじゃねえか、忍びだって人間だ。つってももう人間じゃねえがな」
そう、もうこのカラダは生身じゃない。
社に封ぜられる悪霊。それが今の俺。
生身で自由に動き回れないなんざ、退屈すぎて暴れたくなるだろうから。
そしたらきっと。俺は天津を壊しちまう。
だから、俺は御魂になった。
「……俺は、貴様が気に喰わなんだ」
きっと、こいつもそれを知っている。
「そーかい、俺は嫌いじゃなかったぜ」
にい、と笑ったつもりだが、相手にどう見えたかはこの際考えない。
霧が満ちているような視界の中、相手の生真面目な顔が少しだけ歪んだ気がした。
「クウガ殿、烈将殿。封印の儀、仕度が整いまして御座る」
法衣をまとった僧侶が視界の端に見える。
「分かった。すまんがもう少しだけ、待ってくれ」
少しだけ、クウガの声音が震えている。
「クウガよぉ、残った俺の部下の面倒、頼むな」
「……残った、と言っても一握りだがな。無碍にはせん……否、させんさ」
「ん、安心した。始めてくれ」
最期まで、俺は道化だ。
本当は、もっと言いたいことがある。
本当は、他に聞きたいことがある。
けれど。
きっと聞いてしまったら止まらなくなる。
「心残りが一つだけあるぞ、烈将」
クウガの声が、昔のような優しい声になっている。
「その姿になる前の貴様と、勝負をつけたかった」
……ったく、こいつは本当に相変わらずだ。
「今更言うなよ、馬鹿」
そいつは俺の科白だ。
お前は、俺が本気を出せる唯一の相手だったんだから。
祈詞が紡がれるたび、身体が軽くなっていくのを感じる。
「さらばだ、烈将。我が好敵手」
わざと格好付けた口調に笑いそうになる。
「おう、地獄に落ちたら遊びに来い」
手を振ってみせたつもりだけれど。
きっと相手には見えなかっただろう。
眠りに付くように。意識が落ちていく。
次に目が覚めるとき、俺の側には誰もいないはずだ。
永遠に続く暗闇。そこが、俺の世界になる。
決して悔いがない、なんて嘘だ。
願っても、叶えられやしない。
だから、瞳を閉じる。
瞼の裏に、日常を描く。
賑やかな庭。
ずっと側にいてくれた穏やかな笑顔。
優しくて、おっとりした声と。
誰よりも愛おしい、涼やかな声。
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「てめえら、花見行くぞ花見」
さぁ。叶わなかった宴をしよう。
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詩柳耶琴
性別:
非公開
自己紹介:
ラグナロクオンラインのアマツ萌え&自キャラによる人形遊びな実験的短編置き場
といいつつ、いろいろ詰め込んであります。
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