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絵とかなんとか色々置いておく場所です。
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夜桜幽玄会に沸く天津の地下にて催されていた宴。

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「これこれ。そんなに大勢で囲まれては、酒がこぼれてしまうだろう」


「天狗殿、言ってくれるなっ。これを飲まずにいられずかっ」

 正直非常に困った状況である。

 封印が軽くなってる、と、呟いた御館が正宗を帯びて外に飛び出していったのは、つい数刻前。
 残された怨霊はじめ、我ら部下衆は留守番と相成ったわけだが。

「天狗殿ー! 酒が足りぬ! もっとよこせ!」

「ぎゃははは、木綿殿は器用じゃのう!! そらもう一回転!」

 呆れ果てて見送った次の瞬間には、もうこれだ。
 この姿に変わる前より皆宴会好きの大酒飲みであったが、怨霊殿やいつの間にか居ついた一反木綿殿までも巻き込んでの大宴会になってしまった。
 真っ白な布であるはずの木綿殿は、目のように裂けた二つの穴の周囲が赤く染まり、普段よりもふらふらと虚空に浮かんで、くるくると器用に空を舞っている。どこかその穴の裂け方も違うように見受けられるのは、気のせいではあるまい。
 傍を見れば、銃奇兵やカブキ忍者と健啖を争うように杯をこちらに差し出す怨霊殿。

「くそうー 正宗ばかり御館と出かけるとは、卑怯なりっ」

「言うな言うな……。我らはたんと飲んでおこうぞ」

「酒だー! 酒もってこーい!」

 端々で形成されているカブキや銃奇兵達の陣から好き勝手な酔い声や、嘆くを慰める光景が見える。
 かつても、夜毎こうして騒いでいたものだった。

『金剛~ お前も飲めって! しけたツラしてたら、楽しい訳ないだろ~』

 いつでもへらへらと笑顔をはがさなかった、今尚御館と仰がれる青年のおどけた声が耳に蘇る。

「天狗殿ー!」

「好きに飲まれよ。あとは知らぬ」

 背に担いだ酒壺を床に落とし、自分の杯に酒を一献。
 思えば、壺に酒を詰めて担ごうと思ったのは。
 地下深くに封印され、無為に寝転がっていた御館のためだった。
 どこからか、桜の花びらが舞い降りてきた。 きっと、封印を緩めた誰かの贈り物だろう。
 本当にそうであるかどうかは、どちらでも構いやしない。
 杯を一息に傾ける。

「楽しまなければ、何でもつまらなくなっていく。でしたな」

 床に置いた酒壺の中身は、おそらくすぐになくなるだろう。
 宴に沸く神社というのも、いいものだ。
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ラグナロクオンラインのアマツ萌え&自キャラによる人形遊びな実験的短編置き場

といいつつ、いろいろ詰め込んであります。

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