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絵とかなんとか色々置いておく場所です。
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割と大規模な配置変換がかかりましたの(´・ω・`)

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Part1 ゲフェン地下ダンジョン3F

 聞き慣れたものより少し違う馬の嘶きと、今までには聞かれなかった凶悪そうな声があちこちで聞かれる。

「ドッペルゲンガー殿、何かお悩みでも?」

「いや、なんでもない……」

 聞き慣れたデビルチの心配が非常に有難く感じる。ふと横を見れば、ナイトメアも心配そうな顔をしてわずかに嘶いて、頬を摺り寄せてくれる。
 何の気まぐれか、この世界を管理する者が俺の手勢を少しばかり増やした。他の地でも同じような改変が行われたらしいが、やはり見慣れた身辺が一番目に付くと言うものだ。
 まずは今までも仕えてくれていたナイトメアに姿が似た、黒き死神 ナイトメアテラー。見た目はナイトメアと似ているが、体が黒く染まり、蹄や鬣が炎であるので見分けがしやすい。それから、グレムリン族と呼ばれる見慣れない悪魔達。種族的にはデビルチと同種らしいが、グレムリンはなんだか進化の途中で失敗したような風体で、ホドレムリンはそのまま身体を無理に大きくされたような風体だ。
 いつも通りより早い時間に眠らされ、起きてみたらこの有様だったのだから、当初は皆戸惑っていた。一番戸惑っていたのはマリオネットだったな。
 手駒が増えるのはいい。賑やかになるのはいいことだ。しかし。

「せめて、事前に教えておいてくれても良かったのではないかな。GMよ」

 どこまでも続く闇を見上げて呟く。この闇の先にいるであろうGMに、この呟きが聞こえていないのは、もう言うまでもあるまい。

「グレムリンちゃんっ、ホドレムリンちゃんっ、一緒に遊ぼ!」

 遠くの方で、マリオネット達の楽しそうな声とグレムリン達の声がする。
 ナイトメアテラー達もこの環境に慣れたのか、あちこちを自由に走り回っているのが見える。
 ここが暗い闇の中でなければ、さぞ牧歌的な風景なのだろう。

「平和ですなぁ」

 デビルチの声がしみじみとしている。
 そう。この手勢の揃い方は、浄化の聖域を遣う人間達にとって格好の狩場らしく。また、ホドレムリンの魔力を封じたカードが人間達にとっては有益なものであるらしいために、この地には連日多くのPTがやってくるようになった。
 上階の方が騒がしい。あと数刻すれば浄化の聖域が空気を焦がす匂いと、魔力によって呼び出された吹雪が発する不自然な冷気が満ちるだろう。
 ……ああ、この願いをかけることすら許されないのはわかっているさ。
 声にすることも、思う事すらも許されない。
 思ったその瞬間、霧散していく願い。
 ため息を一つして。この身になってから錆ついたのを見ていない剣を持つ。

「ドッペルゲンガー殿?」

「……今日も忙しくなるな」

 騒がしさが近い。
 俺は、所詮亡霊だ。
 今まで俺を心配するように見つめていたナイトメア達の目の色が、悲しげな強い光に変わる。

「さぁて……今日も行ってくるかね」

 何度繰り返そうと、何が起ころうと。俺のするべきことは変わらないのだから。
 刃を抜いて、闇に歩を進める。

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Part2 ミョルニール炭鉱 

 いつもより早く眠らされた翌朝。
 目が覚めたら、そこは見慣れた第三階層ではなく、かつてこの身が生身であった頃、ここに連れて来られたときに一度通ったきりの第一階層だった。

「おう、起きたか」

 不意に声をかけられた。横を見ると、声の主はミストと呼ばれる、同僚の霊だった。彼は、ここには出てこれないはずなのだが。

「俺も気付いたのは今さっきだ。支配者の気まぐれで、あちこちでこういう変更が行われたらしいぜ」

 聞くと、今まで私達がいた第三階層には、私達よりも過酷な労働をしていた者達の妄執や、爆破採掘に使われた爆弾の怨念、また休憩時に使っていた暖炉の化けた身がうろつくようになり。私達はその道程に至る第一階層および第二階層だけを守るように呪いを変更されたらしい。

「ほら、ガイアスのじじいやクランプなんかもいるだろう? 俺としちゃあ、もう二度とお天道様のちかくにゃ出れねえと思ってたからな、特に不平はないが」

 軽く、ため息が聞こえた。
 確かに周りを見れば、見慣れた紫色の身体をしたネズミやいつも忙しなくタバコをふかしている老人の姿も見える。

「まぁ、我らの役目は」

「ああ、変わらん」

 使い込んだツルハシを担ぎ、火が落ちてしまったランタンに火をつける。

「一仕事いきますか」

 騒がしさが、近づいてくる。 

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Part3 フェイヨン地下洞窟第4層

「はぁ……」

 なんとなしにため息をつく。
 いつもより早くに眠りに付かされ、目を覚ましてみると。
 ちょこまかと動き回るドゲピがいない。ぎいぎいと身体を揺らす天下大将軍様もいらっしゃらない。
 そして、眠る前には一緒にいたはずのムナックが消えていて、代わりによく似た装束の男性がいた。
 ヒェグン、と名乗ったその方は、少なくとも礼節はしっかりした方で。
 他のソヒーに聞いても、それは変わらないらしい。
 私としては、世界の調整のために冒険者の立ち入りを禁じられる時間、ムナックとお茶を飲みながら話す時間が楽しみだったのだけれど。
 彼女はもう一層上にしか出現しないようにされてしまったようなので、それはもう叶わないだろう。

「白の君? 何か患い事でも?」

 考え事をしていると、ヒェグンが顔を覗き込んできた。

「い、いいえっ。なんでもありませんわっ」

 いそいそと顔を隠し、他のソヒー達が集まっている朽ちた母屋に駆ける。

「あら、白の君どうかなさいましたの?」

 ソヒーの中でも年長の青の君が、柔らかい微笑とともに迎えてくれる。

「大したことではないのですけれど……どうもまだあの方がご一緒なことに慣れなくて」

「ふふ、白の君は初心ですのね」

 青の君は柔らかな微笑のまま、優しく頭を撫でてくださる。

「私は嬉しいですわ。なんだか昔を思い出します」

「まぁ黄の君、はしたないですわよっ」

 悪戯っぽく笑って言うのは黄の君で、咎めているのは赤の君だ。

「お二人とも、おやめなさい。大声が外まで聞こえていましてよ」

 ゆっくりと扉をくぐりながら悠然と笑うのは、紫の君。

「うぅ……皆様は、戸惑われないのですか……?」

「まさか。長く一緒にいた方が消えて、見たことのない男性に変わっていたのですから、当然驚きますわ」

 紫の君は優雅にお茶を全員に振舞う。

「けれど、共に棲む者同士仲良くしたほうが楽しいでしょう?」

 やわらかい湯気の先、紫の君の笑顔が優しくとろける。

「さぁさ、せっかく紫がお茶を淹れてくれたのだから、騒がしくなる前にいただきましょう」

 青の君が言って、紫の君に礼をしてからお茶に口をつける。

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Part4-1 ピラミッドダンジョン最上階

 私は頭を痛めていた。生身と離れて既に幾星霜という身で頭痛というのもおかしな話だが、これを頭痛と言わず何と言うのか。

「何故だ」

 この問いを口にするのも何度目になるかは、既に数えるのを放棄している。

「何故おぬしがここにいる? アヌビス」

 いつもならば滅多に眠らされることのない世界の調整の日。いつもよりも早い時刻に眠りの呪をかけられ、目を覚ますとかつて見慣れた姿が目の前にあった。
 冥府を司る死神・アヌビス。別の世界では息子とも言われる、犬頭の神。

「何度も言ったとおり。俺は喚ばれただけだ。文句ならこの世界を調整している者に言ってくれ」

 さらりと応えるのは、胸を張って権威を誇示するその姿。正直、私よりもこちらの方が権威高く見える。

「エンシェントマミー様、お茶が入りましてございます」

「んむぅ、すまぬのう」

 古くから仕えるエンシェントマミーは、のんびりとマミーが淹れた茶を啜っている。マーターはアヌビスにすっかりおびえきってしまったようで、エンシェントマミーの影に隠れるように丸くなっている。

「やたら迷惑そうだがな、オシリス殿よ。俺だって困惑してるんだ。
 当初は牛と神官戦士と共にだけだったのが、目が覚めたらいきなりあちこちで呼び出されるようになっていた。むしろ同情してもらってもいいほどだと思うんだがな?」

 マミーから茶を受け取りながら、嘆息混じりに言うその言葉もわかる。

「ファラオといったか? 俺を見るなり、ドン引きしやがってな。
 しょうがないから、そのまま放ってきたが」

 とは、アヌビスが開口一番に言った科白だ。

「あ、あのう、冒険者達がこちらを目指してきてますが……」

 控えめなイシスの言葉を半分上の空で聞く。

        **********************************************
Part4-2 スフィンクスダンジョン最下層

「はぅぅ……」

 もう何度目のため息になるだろう。
 ファラオ様はずっとうなだれるようにしてため息をついている。
 原因は言うまでもない。地響きにも似た足音で迷路を歩くアヌビス様だ。
 実際この迷路にアヌビス様がお出ましになるようになって、随分経つのだが。
 世界の調整を行う者達の意向により、アヌビス様は今までにはお出ましにならなかった場所にも出張することになったようで。その理不尽をファラオ様にぶつけたりしているようだ。……傍目には、かわいらしい後輩をからかって遊んでいるように見えるのもそっと追記しておく。

「はぅぅー……私、ここの主なのに……」

「まぁまぁ、ファラオ様。アヌビス様もお疲れなのでしょう、あまり気になされますな」

 パサナがそっと背中をさすりながら、似合わない口調で慰めている。

「うう……。アヌビス様も神ですし、従って然るべきなのは分かってるんだけどぉ」

 床にのの字を書きながらくすんくすんと泣いている。
 ……ファラオ様、一応男って設定なんだからもう少ししっかりなさいませ。それじゃあまるっきり女の子ですよ。

「だってっ、私 女の子だもんっっ! マルドゥークが一番良く知ってるでしょうっ」

 ……分かってはいますが、そんなキッパリ言い切らんといてください。
 泣き止む気配などなさそうな主君を前に、目が合ったパサナと共に深いため息をつく。
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詩柳耶琴
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自己紹介:
ラグナロクオンラインのアマツ萌え&自キャラによる人形遊びな実験的短編置き場

といいつつ、いろいろ詰め込んであります。

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