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絵とかなんとか色々置いておく場所です。
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怨霊視点のお話。

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 かつて、問うたことがある。
 我が傀儡となるに、思うことはないのか、と。
「傀儡? お前は俺の体を遣う。俺はお前の力を以って皆を守る。
 お前が皆を傷つけるのなら、この身と代えてもお前を倒す。それだけだ」
 今も思い出せる武将の回答は、実に単純明快。
 その意気に惚れ込んだのがいつだったかなど野暮なこと。




 眠る将の腕の中、愛おしそうに抱かれたそれから白い人型が抜け出でる。

『主殿……』

 柔らかく涼しい声は、我の耳にも心地よく。
 白く透ける指先が、武将の髪を撫でる。

「毎度毎度、飽きぬものよのう」
『主殿に触れることは、もはやこの刻以外に叶わぬからな』

 笑うか? と、涼しい声がする。
 こちらに向けられるその貌は、穏やかな女子(おなご)のそれ。

「……正宗。我が傀儡となるに、思うところはないのか?」

『私はもはや、お主に振るわれる以外主殿を守れぬ。
 思うも何もない』

 くすり、と、それが笑う。
 どこか悲しそうな、自嘲めいた笑み。

「……主殿を守る、か」

 忍達から聞いた。剣に封ぜられた男装姫と、今は眠る武将。
 武将の想いを吐露する声。

 がしゃり。
 怨霊として武将に憑くようになって以来、抜くことなく帯びたままだった本来の愛刀を腰から引き抜く。

『怨霊殿?』

「これも気性の激しくてな。時には遣ってやらぬとへそを曲げてしまう」

 苦笑しながら、白い影に答える。
 少し困惑した顔で何か言葉をつむごうとした白い影が、武将の腕の中に消える。
 世界の調整が終わる刻限。
 数刻もすれば、将が目を覚ますだろう。

「怨霊に誓われても不快かもしれんがな。
 お主らの平穏を守ってやりたいと願うは、忍達だけに非ずよ」

 がしゃり。
 眠る武将に捧げるように愛刀を地に付け、片膝をつく。

 かつては、数万の武将が我が前でこうして跪いた。

「今は昔、かつては背負った威光に賭けて」

 初めてこの礼をした相手は、この武将のような芯強き方だった。

「我はお主らの番とならん」


 もうすぐ、また騒がしい日々がやってくる。
 忍達と一反木綿と。そして、いつもへらへらと笑う武将の宴。
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ラグナロクオンラインのアマツ萌え&自キャラによる人形遊びな実験的短編置き場

といいつつ、いろいろ詰め込んであります。

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