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絵とかなんとか色々置いておく場所です。
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するり。
器を抜け出でる感覚。
どういう理屈だか知らないが、皆が眠る間だけ
私は、刀から抜け出でることができる。
もちろん、寄り代である刀から離れることはできないのだけど。

主殿は、眠るときも“私”を手放さない。
今も、“私”は、主殿の腕の中に抱かれている。


そっと、主殿の髪に触れる。
透ける手は、その感覚を覚えることもない。

「主殿……」

呼びかけても、主殿が眼を覚ますことはない。
真っ白になった髪。
しかし、かつてと変わらない横顔。
やわらかく閉じられている目元をぬぐう。

「ずっと、お傍においてくださいますよね……?」

聞こえるはずなどない。
聞こえていれば、きっと苦笑して「当たり前だ」と抱きしめてくださる。
だけど、どうしても答えてほしいと願う。

刀に封ぜられて、もう何度月日が巡ったか。
天津城主の祀りも行われなくなって久しい。

けれども、皆変わらない。
いつもにぎやかな忍者たち。あきれた顔で見守る金剛。
そして、その中で笑う主殿。
変わったといえば、一反木綿や怨霊がその輪の中に加わって、
皆の輪の中に、私がいないだけ。


「愛してます。これからも、ずっと。」

頬に唇を近づける。

「私の、たった一人の愛おしい方」

もしも。
もしも、夜桜の宴のような奇跡が、もう一度かなうなら。

「どこまでも、ついて参ります。主殿……」

もう少しで、唇が頬に触れる刹那。
刀に引き戻される感覚。

いつも、こうして眠る。

偽りでも、一瞬の幻でもいい。
もう一度だけ、主殿の目を、正面で見たい。
やわらかくても、冷たくても、どちらでもかまわないから。

願っても、かなわない。
いつもこうして、寸でのところで戻されて。

怨霊に振るわれる日々に戻る。

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詩柳耶琴
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自己紹介:
ラグナロクオンラインのアマツ萌え&自キャラによる人形遊びな実験的短編置き場

といいつつ、いろいろ詰め込んであります。

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