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絵とかなんとか色々置いておく場所です。
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感慨にふける主殿です(´・ω・`)

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 生暖かい夜風が、実体でなくなった身をすり抜けていく。

 見慣れない服装の旅人が行き交う、大通り。
 夜の闇の中、釣り下がった提灯のぼんやりした光に桜の花びらが淡く光って浮かび上がる。 


 何かの気まぐれか、単純に封印が解けてきているのか。
 祭りが始まった頃から、地下神社に縛り付けられる感じがなくなっていた。
 多分、この夜桜のせいだろう、とは思うが。
 せっかくなのだから、と怨霊と部下達に留守番を任せ、正宗を腰に差して飛び出てきた。
 全員どうしようもねえな、って顔してたのは、わざと気付かないフリをしてな。
 生暖かい風とともに、人々も俺をすり抜けていく。
 まぁ……当然っちゃ当然か。
 だけど。
 腰の正宗は、なんだか嬉しそうだ。
 もちろん、声なんか聞こえるわけじゃないけれど、な。

「いい夜だな、正宗」

 そっと声をかけてやる。
 きっと、顔が見えるなら満面の笑みを浮かべているんだろう、触れているか否かほどに添えている指越しに、嬉しそうな気配を感じる。
 知らない顔ばかりの天津。見知ったそれとは、随分変わった町並み。
 正宗の実家があったあたりには、時宗がいつも眺めていた池だけがそのまま残っているだけで。封印でも施されているのか、かつての敷地のすべてが山のように隆起して、その全体像は想像すらもできないようになっている。

「かわっちまったなぁ……」

 ゆっくりと、周囲を見渡す。
 旅人達は、この日だけに用意された遊戯や迷宮に夢中らしい。
 本当は、皆で遊べたら楽しいだろうに。
 部下達は、なんと言うかわからないが。

「皆で、来れたらよかったな。」

 そぞろ歩きに紛れて。
 夜桜が散らす花弁を追わないように、歩く。
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ラグナロクオンラインのアマツ萌え&自キャラによる人形遊びな実験的短編置き場

といいつつ、いろいろ詰め込んであります。

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