現在ＨｉＷｉｚになってるベルディアたん。
わりとひねくれたお嬢様ですっていうお話。

[0回]

　あたしが最初に覚えたのは、つまらない世界だった。

　議員であることを鼻にかけるだけの父親と、父親に付き従うだけの母親。
　父親はかつてはそこそこの実力のあるセージで、母親も優秀なプリーストだったらしいけど
　正直そう見えたことなんてない。
　窓から見えるセージキャッスルが泣いてるように見えたのは、あたしだけじゃないみたいで。
　あたしがやっと物心ついた頃に家を出て行った双子の姉達は、
　高名ではないけれど一人前のプリーストとウィザードで、ゲフェンで二人暮らし中。
　弟もあたしだけに「クルセイダーになる」と告げて、一月前に家を飛び出していった。
　三人とも家には絶対帰ってこない。
　家の中に一人残されたあたしは、図書館に通った。
　まだ小さい時は、姉達に手を引かれて通った図書館。
　弟が小さかった頃は、弟の手を引いて通った図書館。
　両親には「勉強のために」と言うけれど、本当は家にいたくないから。
　姉達も弟もそれを知っているから、図書館にいるといつの間にか誰かが傍にいてくれる。
　それでもジュノーという街の立地のせいか、二月に一度会えれば、という頻度だけど。

　四人の子供全員が冒険者になるのを、貴族思考の両親が許すはずがない。
　冒険者になれる13歳の誕生日。あたしには生まれたときから婚約者がいると告げられた。
　相手はルーンミッツガルドの貴族様。一回会ってはみたけど、なよなよしてて弱そう。
　これが本当は双子の姉のどちらかに宛がわれるはずだったらしい。
　あの正反対な二人が声を揃えて「一秒でも早く家から出たい」と言うワケだ……。
　
　そして。今あたしは初心者修練場にいる。
　渡された修練場に登録する書類には、「ベルディア」と記した。
　もちろん本名じゃない。あんな両親につけられた名前なんて、もう名乗りたくない。

「あなたは、どんな職業に就くことを望みますか？」
「マジシャンに。そして、ウィザードになりたいです。」

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