絵とかなんとか色々置いておく場所です。
「どうあっても、行くのだな」
「……はい、父上」
行灯の炎だけが、闇に浮かんでいる。
「父の言葉よりも、あやつの側の方がよいか」
「はい」
ちりちり。炎が空気を焼いている。
「父上にはご迷惑をおかけいたします。どうか、無理をお聞き届けくださいませ」
暗がりの中、普段は涼やかな声が泣いている。
「……儂は、お前に力を添えぬ。しかし、お前の行く先を阻みもせぬ」
ちりちり、と。炎が空気を焼く。
暗がりの気配が一つ、音もなく消えた。
「儂は父親失格だな。たった一人の娘の幸せを守ってやれぬ」
静寂にため息が落ちる。
「控えておるな」
「ここに」
「古狸の腹の内、一夜のうちにすべて暴いて来い」
炎が揺らめくのが分かる。
「老いたとはいえ仮にも猛将と呼ばれた儂を敵に回すとどうなるか。
息子を呪い殺し、娘をも手にしようとした罪、とくと思い知らせてやろうぞ」
「承知」
夜風が、強く吹いた。
*******************************************************************************
「ここまで準備をさせておいて御用改めもなしか」
燃え盛る松明。御館様は、刀を炎に照らしている。
女子供は精鋭であるくの一達とともに屋敷の中に隠れ、普段は平穏な庭で装備を整えている忍の数は一万。一見して戦いの準備をしていると分かる。
「狸の術中にはまった、かな」
松明に照らされて、御館様の表情は読み取れない。
「覗き見とは趣味が悪いぞ、出てこい」
「気配、消していたんですけれど」
涼やかな声とともに、塀から音もなく人影が降りる。
「今からでも遅くはない、戻れ」
「いいえ。あれは兄上が仇。それに、私は主殿の将でございます」
しっかりとあげられた端正な顔。その冷たい双眸に、炎が映りこんでいる。
「最後までお側にいさせてくださいませ、主殿」
「……生きては帰れないぞ」
「覚悟の上」
我らも、正宗殿に倣って御館様に跪く。
我らの主上は、御館様ただ一人。それをここに誓う。
「者ども、覚悟はよろしいか」
声が響く。
「狙うは天津を転覆させんとする叛逆者 家老ただ一人なり!
我らは天津と戦うのではない、天津を守るのだ!」
高々と剣が掲げられる。
********************************************************************************
雅。
弱い兄を許して欲しい。
お前一人、守れない兄を。
私はお前を守りたかった。
お前が幸せになってくれるなら、この命などいつでも捨てるつもりだったけれど。
ああ、そんなに怒らないでおくれ。
卑劣な手に落ちるほどに弱い兄が悪いのだ。
ああ、どうか。
そんな悲しそうに怒らないでおくれ。
********************************************************************************
街が炎に包まれていく。
これでいい。
あやつを陥れる罠は、既に張り巡らせてあった。
さぁ、くるがいい。
この首が欲しいなら取りに来い。
その首にかかった蜘蛛の糸に気付かぬ愚かな烈将。
「……はい、父上」
行灯の炎だけが、闇に浮かんでいる。
「父の言葉よりも、あやつの側の方がよいか」
「はい」
ちりちり。炎が空気を焼いている。
「父上にはご迷惑をおかけいたします。どうか、無理をお聞き届けくださいませ」
暗がりの中、普段は涼やかな声が泣いている。
「……儂は、お前に力を添えぬ。しかし、お前の行く先を阻みもせぬ」
ちりちり、と。炎が空気を焼く。
暗がりの気配が一つ、音もなく消えた。
「儂は父親失格だな。たった一人の娘の幸せを守ってやれぬ」
静寂にため息が落ちる。
「控えておるな」
「ここに」
「古狸の腹の内、一夜のうちにすべて暴いて来い」
炎が揺らめくのが分かる。
「老いたとはいえ仮にも猛将と呼ばれた儂を敵に回すとどうなるか。
息子を呪い殺し、娘をも手にしようとした罪、とくと思い知らせてやろうぞ」
「承知」
夜風が、強く吹いた。
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「ここまで準備をさせておいて御用改めもなしか」
燃え盛る松明。御館様は、刀を炎に照らしている。
女子供は精鋭であるくの一達とともに屋敷の中に隠れ、普段は平穏な庭で装備を整えている忍の数は一万。一見して戦いの準備をしていると分かる。
「狸の術中にはまった、かな」
松明に照らされて、御館様の表情は読み取れない。
「覗き見とは趣味が悪いぞ、出てこい」
「気配、消していたんですけれど」
涼やかな声とともに、塀から音もなく人影が降りる。
「今からでも遅くはない、戻れ」
「いいえ。あれは兄上が仇。それに、私は主殿の将でございます」
しっかりとあげられた端正な顔。その冷たい双眸に、炎が映りこんでいる。
「最後までお側にいさせてくださいませ、主殿」
「……生きては帰れないぞ」
「覚悟の上」
我らも、正宗殿に倣って御館様に跪く。
我らの主上は、御館様ただ一人。それをここに誓う。
「者ども、覚悟はよろしいか」
声が響く。
「狙うは天津を転覆させんとする叛逆者 家老ただ一人なり!
我らは天津と戦うのではない、天津を守るのだ!」
高々と剣が掲げられる。
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雅。
弱い兄を許して欲しい。
お前一人、守れない兄を。
私はお前を守りたかった。
お前が幸せになってくれるなら、この命などいつでも捨てるつもりだったけれど。
ああ、そんなに怒らないでおくれ。
卑劣な手に落ちるほどに弱い兄が悪いのだ。
ああ、どうか。
そんな悲しそうに怒らないでおくれ。
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街が炎に包まれていく。
これでいい。
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その首にかかった蜘蛛の糸に気付かぬ愚かな烈将。
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詩柳耶琴
性別:
非公開
自己紹介:
ラグナロクオンラインのアマツ萌え&自キャラによる人形遊びな実験的短編置き場
といいつつ、いろいろ詰め込んであります。
このページ内における「ラグナロクオンライン」から転載された全てのコンテンツの著作権につきましては、運営元であるガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社と開発元である株式会社Gravity並びに原作者であるリー・ミョンジン氏に帰属します。
© Gravity Co., Ltd. & LeeMyoungJin(studio DTDS) All rights reserved.
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なお、当ページに掲載しているコンテンツの再利用(再転載・配布など)は、禁止しています。
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