忍者ブログ
絵とかなんとか色々置いておく場所です。
[ 197 ]  [ 196 ]  [ 195 ]  [ 194 ]  [ 189 ]  [ 190 ]  [ 191 ]  [ 193 ]  [ 192 ]  [ 186 ]  [ 185
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

鬨の声が上がる中。

ある新兵が、初陣に狩り出されたのは

妖との戦。


拍手[0回]


 初陣の気の高揚が嘘のようだ。
 恐ろしい妖の、瘴気と咆哮。
 自分の腕はこんなにも細かったか。この手の刃は、まるで木の枝のようだ。
 咆哮が迫ってくる。刃を構えるが、打ちつけてくる銅棍の圧力に折れそうになる。

 しゃらり。

 不意に、音が聞こえた。
 聞こえないはずの音。聞こえるわけがない。
 鬨の声が上がる戦場。こすれる金属と言えば、刃と防具の止め具ぐらいなもの。
 少なくとも、あれほどに涼やかに、あれほどに軽やかに、音がする金属など、ありえない。

「余所見とは、余裕ですね」

 ふんわりとした声。

 しゃらり。

 ああ、またあの音。金剛杖のそれとは違う。
 いうなれば、金属が金属の上を軽やかに撫でているような。

「そんな様では、その命 幾つあっても足りませんよ?」

 目の前には、銅と交錯する細い刃。
 銅棍の主である妖が、醜い顔をさらにしかめているように見える。
 細い刃は、僕のそれではない。

「下がりなされ」

 顔の横で甘く声がする。
 妖の顔が一瞬で切り刻まれて、紫の霧が目の前に現れる。
 その霧をさらに細い刃が一払いすると、霧の向こうにいた妖が三匹まとめて斬られていた。

「おい、大丈夫か!」

 体が軽い。どうやら、同軍の兵が抱えてくれているようだ。

「危なかったな、智将殿がお助けくださったのだぞ。あとで礼を尽くしておけ」

「ち、しょう・・・?」

 顔を上げれば、妖を切り伏せる細い刃が閃くのが見えた。
 細い刃は何事もなかったように鈍く光を放っているのに、
 その地に盛られた山々が、それを否定している。

 しゃら……

 細い刃の主が露を払うように刃を一振りすると、あの音が静かに響く。
 紫の霧を一閃で切り裂いて、あの音とともに駆ける後姿。

「智将…殿……」

 その後姿は、今でも鮮明に思い出せる。

 それは何よりもきれいで、
 それは何よりも、おそろしかった。
PR
コメント(0)
コメントを投稿
名前:
メールアドレス:
URL:
タイトル:
コメント:
パスワード:  Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
ほねほねくろっく
ブログ内検索
プロフィール
HN:
詩柳耶琴
性別:
非公開
自己紹介:
ラグナロクオンラインのアマツ萌え&自キャラによる人形遊びな実験的短編置き場

といいつつ、いろいろ詰め込んであります。

このページ内における「ラグナロクオンライン」から転載された全てのコンテンツの著作権につきましては、運営元であるガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社と開発元である株式会社Gravity並びに原作者であるリー・ミョンジン氏に帰属します。
© Gravity Co., Ltd. & LeeMyoungJin(studio DTDS) All rights reserved.
© GungHo Online Entertainment, Inc. All Rights Reserved.
なお、当ページに掲載しているコンテンツの再利用(再転載・配布など)は、禁止しています。
バーコード
忍者ブログ [PR]


Copyright(c) 覚書帳 All Rights Reserved.
Template By Kentaro