絵とかなんとか色々置いておく場所です。
「アークビショップ ことや様ですね。お目にかかれて光栄です」
場にそぐわない、教会式の拝礼。
乾いた砂の臭いが強い、アサシンギルドの暗闇で、彼女は優雅に一礼をくれた。
「堅苦しいのは苦手だ。楽にしてくれ、シスタークローシェラ。 今日は会議の日だったか?」
「いいえ、報告と個人的な用件です」
闇に響くその声は簡潔ながらどこまでも優雅。柔らかく、教会で聖書を朗読して聴かせるのがいかにも似合いそうだ。
「人探し、だったか。聞かない方がいいなら無理には聞かないが、 アサシンギルドで探す程とは一体どんなヤツなんだ?」
「構いませんわ。…死んだといわれる人物なので探すだけ無駄なのかもしれないのですが」
彼女の笑顔が、少しだけ困ったように変わる。
「アサシンクロスまで道を究められている貴方ならご存知でしょうか。
かつてアサシンギルド最速最凶といわれた、黒い風魔を」
彼女の声音は変わっていない。困ったような笑顔も、変わらない。
「噂ならいくらでも聞くがな」
「そうですよね。忘れてください」
柔らかく微笑んで。彼女は、失礼します、とだけ言い残し、背を向ける。
「シスタークローシェラ」
「はい」
「もしも、その相手が目の前に居るとしたら、どうしたい?」
「目の前に居るなら、ですか……」
闇の中、聖女と言うにふさわしい柔らかな声が響く。
相手の息がゆるりと吐き出された次の刹那、空気がゆらりと動いた。
「相打ちも承知の上、このソードメイスの錆に」
「ヒドラの魔力付きか、用意がいいな」
首筋に突きつけられた刃をそっと外し、相手にゆるく苦笑を向ける。
「その為の、この力ですから」
プリーストは本来、その知識と念力を持って他者へ加護を降ろす。
ただし、例外はどの世界にも居る。
彼女は、その加護を持って、自らの手で神罰を下す。いわゆる、殴りプリーストだ。
「失礼を……」
「構わないさ、俺が挑発した結果だからな」
ふんわりとした聖女の笑顔で一礼を残し、後姿がゆっくりと去っていく。
「あーもう、びっくりしたぁ」
後姿が完全に消えたと同時に、闇の中でおどけた声が響く。
「見てたのかよ、趣味が悪くないか?」
「好きでみてたんじゃないもーん。次はやらないでよー?」
いつも通り声の主である名もなき者の姿は見えないが、一応心配はしてくれたらしい。
「ちなみにあの子の親は、湖斗夜の最後の相手だった悪徳商人だよ」
「そうか」
僅かにともる松明に手を掲げてみる。炎の赤が映って、まるで血まみれになっているようだ。
「彼女には、伝えてないのか」
「伝えてどうするのー?」
相変わらずのおどけた声。
「……確かに、な」
苦笑がもれる。死で贖うのは、俺にはもう遅い。
先ほどのような光景が再び起これば、血が流れる首は俺ではなく、彼女の方になる。
俺は、聖堂とこのギルドの橋渡しとして、死なせてもらえないところまできてしまった。
「そうそう、マスターが呼んでこいって。伝え忘れた事があるんだって」
「すぐに行こう」
彼女が消えていった方と逆の闇に足を進める。
石畳に響くブーツの音が、何かに似ているような気がしたがすぐに考えるのをやめた。
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場にそぐわない、教会式の拝礼。
乾いた砂の臭いが強い、アサシンギルドの暗闇で、彼女は優雅に一礼をくれた。
「堅苦しいのは苦手だ。楽にしてくれ、シスタークローシェラ。 今日は会議の日だったか?」
「いいえ、報告と個人的な用件です」
闇に響くその声は簡潔ながらどこまでも優雅。柔らかく、教会で聖書を朗読して聴かせるのがいかにも似合いそうだ。
「人探し、だったか。聞かない方がいいなら無理には聞かないが、 アサシンギルドで探す程とは一体どんなヤツなんだ?」
「構いませんわ。…死んだといわれる人物なので探すだけ無駄なのかもしれないのですが」
彼女の笑顔が、少しだけ困ったように変わる。
「アサシンクロスまで道を究められている貴方ならご存知でしょうか。
かつてアサシンギルド最速最凶といわれた、黒い風魔を」
彼女の声音は変わっていない。困ったような笑顔も、変わらない。
「噂ならいくらでも聞くがな」
「そうですよね。忘れてください」
柔らかく微笑んで。彼女は、失礼します、とだけ言い残し、背を向ける。
「シスタークローシェラ」
「はい」
「もしも、その相手が目の前に居るとしたら、どうしたい?」
「目の前に居るなら、ですか……」
闇の中、聖女と言うにふさわしい柔らかな声が響く。
相手の息がゆるりと吐き出された次の刹那、空気がゆらりと動いた。
「相打ちも承知の上、このソードメイスの錆に」
「ヒドラの魔力付きか、用意がいいな」
首筋に突きつけられた刃をそっと外し、相手にゆるく苦笑を向ける。
「その為の、この力ですから」
プリーストは本来、その知識と念力を持って他者へ加護を降ろす。
ただし、例外はどの世界にも居る。
彼女は、その加護を持って、自らの手で神罰を下す。いわゆる、殴りプリーストだ。
「失礼を……」
「構わないさ、俺が挑発した結果だからな」
ふんわりとした聖女の笑顔で一礼を残し、後姿がゆっくりと去っていく。
「あーもう、びっくりしたぁ」
後姿が完全に消えたと同時に、闇の中でおどけた声が響く。
「見てたのかよ、趣味が悪くないか?」
「好きでみてたんじゃないもーん。次はやらないでよー?」
いつも通り声の主である名もなき者の姿は見えないが、一応心配はしてくれたらしい。
「ちなみにあの子の親は、湖斗夜の最後の相手だった悪徳商人だよ」
「そうか」
僅かにともる松明に手を掲げてみる。炎の赤が映って、まるで血まみれになっているようだ。
「彼女には、伝えてないのか」
「伝えてどうするのー?」
相変わらずのおどけた声。
「……確かに、な」
苦笑がもれる。死で贖うのは、俺にはもう遅い。
先ほどのような光景が再び起これば、血が流れる首は俺ではなく、彼女の方になる。
俺は、聖堂とこのギルドの橋渡しとして、死なせてもらえないところまできてしまった。
「そうそう、マスターが呼んでこいって。伝え忘れた事があるんだって」
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詩柳耶琴
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非公開
自己紹介:
ラグナロクオンラインのアマツ萌え&自キャラによる人形遊びな実験的短編置き場
といいつつ、いろいろ詰め込んであります。
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なお、当ページに掲載しているコンテンツの再利用(再転載・配布など)は、禁止しています。
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