絵とかなんとか色々置いておく場所です。
「…お前さあ」
「なによ」
「それ あきねえの?」
「うっさいわねー。好きだから食べてるに決まってるでしょー」
いつもの会話。いや会話といえるのかどうだかあやしいが。
ここは所属しているギルドのたまり場。昔剣士ギルドがあった、っていえば誰でもわかるだろう。
ちなみに目の前にいるのはうちのギルドメンバーの女騎士だ。
彼女はいわゆる必中特化のA騎士である。村正をひっ提げてギルド狩りではいつも先陣を切っていくし、ソロでも風の様に戦場を駆けていく。
その彼女が頬張っているのは、明らかに失敗作とおもわれる黒い物体。
以前なんなのか聞いたことがあるが、クッキーであるらしい。
誰が作ったやらどう見てもおいしそうには見えないシロモノだが、彼女は「市販のものだと甘すぎなんだもの」といってバリバリと口に運んでいる。
それは今も同様で。冷えたミルクを片手にいっそ流し込むように食している。
「いつも思うんだけど、それ 誰が作ったんだ?
普通にクッキー作っててそこまで黒コゲになることってそうないと思うんだが……」
「う、うっさいわね。あんたには関係ないでしょ!」
ふいっと顔を背けられてしまった。心なしか顔やら耳が赤かった気がするが気のせいだろうか。
「そ、それより、いつになったらあたしの剣打ってくれるのよ」
唐突に声をかけられる。
うちのギルドメンバーは皆俺が作った武器を使っている。残念ながら名声を得るまでの腕前ではないのだが、どうも他のブラックスミスが作ったものよりも馴染むようで気に入ってもらっているのが俺の密かな自慢だ。
ただし、コイツの武器だけは一度も作っていない。
「槍なら作ってやれるけどなー? 両手剣はめんどくせえんだよ」
「むー。なによそれー。材料くらい言ってくれりゃ集めてくるわよ」
「第一お前には村正があるだろーが。下手な属性剣なんかいらんだろう」
「……もういいっ。狩りいってくるっ」
完全に拗ねてしまったらしい。既に使われなくなったカカシに立てかけてあった村正を手にとって、荒い歩調で大通りの方へ歩いていく。
「まったく、相変わらずねえ。あんた達は」
「……いつからそこにいた。」
不意に背後で声がした。声の主は、ギルドのおねえログ男である。
「あらぁ、せっかく頼まれたもの取ってきてあげたのにぃ」
クネクネとしながら、相手がパンパンの皮袋を放ってよこした。中身は見るまでもない。クレイモアを打つのに必要な傷のついたダイヤとオリデオコンと鋼鉄だ。
「なんだ、お前も帰ってたのか。おらよ、頼まれてた星のカケラ。これで足りるか?」
タイミングを計ったかのようにギルドマスターのモンクも帰ってきて、こちらはキラキラと輝く星のカケラがつまった皮袋を手渡してくれた。決して少なくない量の鉄も混ざって入っているのは、ついでに銃奇兵を倒したのだろう。
「ん。十分、だとおもう。さんきゅな」
「毎日スリーパー相手じゃ飽きるってもんさ。で、求婚はまだなのか?」
マスターの日焼けして精悍な顔が意地悪く笑う。
「そーよぅ、いい加減二人の晴れ姿みたいわぁ」
ログ男もおねえ口調のままでニヤニヤと笑っている。
「うるせえ!」
プロンテラの青い空に、俺の怒号が響く。
**************************************************************
「もーばかばかばかっ」
「はいはい、落ち着いて。紅茶でもどうぞ」
ふんわりとおいしそうなニオイの紅茶が目の前に出される。
ここは友達の双子が住んでいるお家。今紅茶を出してくれたのが姉のプリーストで、対面に座っているのが妹のウィザード。初心者訓練場で出会ってからの付き合いだから、幼馴染みのようなものだ。
「で、今日はどうしたの? まーたBS君とケンカしたの?」
紅茶を口に運びながら、ウィザードに顔を覗き込まれる。
あたし達はちょくちょく三人で出かけるし、何かあるとすぐ二人に相談する。二人もなにかあればあたしに相談してくれる。……というか、あたしが相談することなんてあいつのことしかないのだけど。
「ケンカ……じゃないけどっ。いつまでたってもあたしの剣だけ打ってくんないんだもん」
「更にクッキーもまた失敗したのね……」
今の発言はプリースト。……やっぱり見抜かれてる。
「……教えてもらったとおり、やってるはずなんだけど。
どうしてもこげちゃって……」
そう、あたしがいつも食べている失敗作のクッキーは、あいつにプレゼントするためのもの。あいつはブラックスミスなんて職業で、お酒もガブガブ飲むくせにものすごく甘いもの好きなのだ。
「オーブンの火力 つよいんじゃないー? あと、生地練ったあとちゃんと寝かせてる?」
「火力は、わかんない。生地練ったあとはいつもキッチンに一晩だしっぱなし」
「あ、それだ。生地は涼しいところで寝かせなきゃー。」
紅茶を飲みつつ、ウィザードは容赦ないツッコミを入れる。
「もう少ししたらクリスマスだし。今年は珍しいケーキを作ってもらえるらしいわよ。それで頑張ってみたら?」
「うぅ……ちょっと悔しい……」
落ち込んでいるあたしをプリーストが慰めてくれる。
「ていうかさークリスマスリング作って渡したら~?
製造って幸運も必要なんでしょ、ちょうどいいじゃん」
「そ、それはそうだけど……それじゃぁほとんど求婚じゃない」
「そのくらいしないと気付かないとおもうよー? ていうかもう襲っちゃえば?」
ウィザードがニヤニヤしてる。
ウィザードって、こういうこと言うような職業じゃないでしょうに。
「まぁ何にしても、騎士子のウェディングドレス姿は見てみたいわねぇ。
きっとキレイよ」
プリーストもノリノリだ。うぅう、ここに来たの間違いだったかも。
結局、狩りにはいかずにずっと恋の話ばっかりだった。
明日は二人を連れまわして悪たれサンタを捕まえにいこう。
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「なによ」
「それ あきねえの?」
「うっさいわねー。好きだから食べてるに決まってるでしょー」
いつもの会話。いや会話といえるのかどうだかあやしいが。
ここは所属しているギルドのたまり場。昔剣士ギルドがあった、っていえば誰でもわかるだろう。
ちなみに目の前にいるのはうちのギルドメンバーの女騎士だ。
彼女はいわゆる必中特化のA騎士である。村正をひっ提げてギルド狩りではいつも先陣を切っていくし、ソロでも風の様に戦場を駆けていく。
その彼女が頬張っているのは、明らかに失敗作とおもわれる黒い物体。
以前なんなのか聞いたことがあるが、クッキーであるらしい。
誰が作ったやらどう見てもおいしそうには見えないシロモノだが、彼女は「市販のものだと甘すぎなんだもの」といってバリバリと口に運んでいる。
それは今も同様で。冷えたミルクを片手にいっそ流し込むように食している。
「いつも思うんだけど、それ 誰が作ったんだ?
普通にクッキー作っててそこまで黒コゲになることってそうないと思うんだが……」
「う、うっさいわね。あんたには関係ないでしょ!」
ふいっと顔を背けられてしまった。心なしか顔やら耳が赤かった気がするが気のせいだろうか。
「そ、それより、いつになったらあたしの剣打ってくれるのよ」
唐突に声をかけられる。
うちのギルドメンバーは皆俺が作った武器を使っている。残念ながら名声を得るまでの腕前ではないのだが、どうも他のブラックスミスが作ったものよりも馴染むようで気に入ってもらっているのが俺の密かな自慢だ。
ただし、コイツの武器だけは一度も作っていない。
「槍なら作ってやれるけどなー? 両手剣はめんどくせえんだよ」
「むー。なによそれー。材料くらい言ってくれりゃ集めてくるわよ」
「第一お前には村正があるだろーが。下手な属性剣なんかいらんだろう」
「……もういいっ。狩りいってくるっ」
完全に拗ねてしまったらしい。既に使われなくなったカカシに立てかけてあった村正を手にとって、荒い歩調で大通りの方へ歩いていく。
「まったく、相変わらずねえ。あんた達は」
「……いつからそこにいた。」
不意に背後で声がした。声の主は、ギルドのおねえログ男である。
「あらぁ、せっかく頼まれたもの取ってきてあげたのにぃ」
クネクネとしながら、相手がパンパンの皮袋を放ってよこした。中身は見るまでもない。クレイモアを打つのに必要な傷のついたダイヤとオリデオコンと鋼鉄だ。
「なんだ、お前も帰ってたのか。おらよ、頼まれてた星のカケラ。これで足りるか?」
タイミングを計ったかのようにギルドマスターのモンクも帰ってきて、こちらはキラキラと輝く星のカケラがつまった皮袋を手渡してくれた。決して少なくない量の鉄も混ざって入っているのは、ついでに銃奇兵を倒したのだろう。
「ん。十分、だとおもう。さんきゅな」
「毎日スリーパー相手じゃ飽きるってもんさ。で、求婚はまだなのか?」
マスターの日焼けして精悍な顔が意地悪く笑う。
「そーよぅ、いい加減二人の晴れ姿みたいわぁ」
ログ男もおねえ口調のままでニヤニヤと笑っている。
「うるせえ!」
プロンテラの青い空に、俺の怒号が響く。
**************************************************************
「もーばかばかばかっ」
「はいはい、落ち着いて。紅茶でもどうぞ」
ふんわりとおいしそうなニオイの紅茶が目の前に出される。
ここは友達の双子が住んでいるお家。今紅茶を出してくれたのが姉のプリーストで、対面に座っているのが妹のウィザード。初心者訓練場で出会ってからの付き合いだから、幼馴染みのようなものだ。
「で、今日はどうしたの? まーたBS君とケンカしたの?」
紅茶を口に運びながら、ウィザードに顔を覗き込まれる。
あたし達はちょくちょく三人で出かけるし、何かあるとすぐ二人に相談する。二人もなにかあればあたしに相談してくれる。……というか、あたしが相談することなんてあいつのことしかないのだけど。
「ケンカ……じゃないけどっ。いつまでたってもあたしの剣だけ打ってくんないんだもん」
「更にクッキーもまた失敗したのね……」
今の発言はプリースト。……やっぱり見抜かれてる。
「……教えてもらったとおり、やってるはずなんだけど。
どうしてもこげちゃって……」
そう、あたしがいつも食べている失敗作のクッキーは、あいつにプレゼントするためのもの。あいつはブラックスミスなんて職業で、お酒もガブガブ飲むくせにものすごく甘いもの好きなのだ。
「オーブンの火力 つよいんじゃないー? あと、生地練ったあとちゃんと寝かせてる?」
「火力は、わかんない。生地練ったあとはいつもキッチンに一晩だしっぱなし」
「あ、それだ。生地は涼しいところで寝かせなきゃー。」
紅茶を飲みつつ、ウィザードは容赦ないツッコミを入れる。
「もう少ししたらクリスマスだし。今年は珍しいケーキを作ってもらえるらしいわよ。それで頑張ってみたら?」
「うぅ……ちょっと悔しい……」
落ち込んでいるあたしをプリーストが慰めてくれる。
「ていうかさークリスマスリング作って渡したら~?
製造って幸運も必要なんでしょ、ちょうどいいじゃん」
「そ、それはそうだけど……それじゃぁほとんど求婚じゃない」
「そのくらいしないと気付かないとおもうよー? ていうかもう襲っちゃえば?」
ウィザードがニヤニヤしてる。
ウィザードって、こういうこと言うような職業じゃないでしょうに。
「まぁ何にしても、騎士子のウェディングドレス姿は見てみたいわねぇ。
きっとキレイよ」
プリーストもノリノリだ。うぅう、ここに来たの間違いだったかも。
結局、狩りにはいかずにずっと恋の話ばっかりだった。
明日は二人を連れまわして悪たれサンタを捕まえにいこう。
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詩柳耶琴
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非公開
自己紹介:
ラグナロクオンラインのアマツ萌え&自キャラによる人形遊びな実験的短編置き場
といいつつ、いろいろ詰め込んであります。
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