絵とかなんとか色々置いておく場所です。
ねっとりした闇。砂漠の乾いた風が頬を撫でる。
ポニーテールにまとめた髪が風に嬲られて踊る。
『よくきたな…… 怜には言ってきたのか?』
『いや、この前出ていったきり帰ってこなくてな。多分狩りに夢中になっているんだろ』
『そうか』
闇の中、交わされる念話。相手の冷たい殺気が風に混ざる。
『どうした。気が風を伝っているぞ』
『なに……お前と狩りをするのは久しぶりだな、と思ってな』
笑う声が頭に響く。
『お前は相変わらずだな。気配も殺気も感じない』
『このくらいしか芸がねぇからな』
念話で笑って答える。
気安い様子で向かうのは、砂漠の一角に隠れるように存在する洞窟。
『中では一味が酒盛りをやっているはずだ。一気に叩くぞ』
『おう』
入り口付近に立っていた見張り達を音も無く倒し、歩調も様子も変えず中へ入る。
馬鹿騒ぎの下卑た笑い声に混ざって女の泣く声が聞こえる。
この声は、聞き覚えがある。
『湖斗夜』
『ああ』
頭に響く声にも緊張が走る。相手にも聴き覚えがあるはずの声。
意識せず歩調が早まる。
すぐに開けた空間に出る。そこで行われていたのは、正に獣の宴。
一人の女を取り囲む屈強そうな男がざっと十人。その顔には漏れなく獣の笑み。
女は服をずたずたにされ、ほとんど裸という様子で嬲られている。
涙と汗と今までにかけられたらしい白い液で顔をぐしゃぐしゃにした黒髪の女。
それは間違いなく怜だった。
「おう、やっときたか。待ちくたびれたぜ」
怜を捨てるように地に投げ、そいつは悠然と身なりを整えながら俺達を見る。
「さすが螢の実の妹だ。良い女だったぜ」
にぃっと下品な笑顔を浮かべて、そいつは言った。
地に投げられた怜は息を荒くしながらそのまま動かない。
何かをブツブツ言っている。その呟きは、聞かなくても大体想像がつく。
「言い残すことはもうないか?」
俺の声が一気に冷え込む。怒れば怒るほど冷え込んでいく俺の心。
「おお、怖い。さすがかつては暗殺者ギルド最強最速を誇ったアサシンさまだ」
完全にバカにしている。おそらく俺が支払った対価を知っているのだろう。
他のローグたちもにやにやと笑いながらそれぞれの獲物を手にする。
ヤツラの獲物――精錬がかかったグラディウスが松明の火に映えて黒く輝く。
「やれ」
気安い様子でやつの号令がかかる。
土を蹴ってこちらに駆け寄ってくる男たちと、その手のグラディウス。
俺達は動かない。動く必要がないからだ。
俺達はギリギリまでバカな奴らをひきつけ、同時にハイディングを発動する。
「「グリムトゥース!」」
声が重なる。
疾風よりも速い衝撃波にささくれ立った地面が、ヤツラの足に、身体に刺さる。
「くっそ、なめんじゃねぇ!」
足を刺されたローグの一人が、叫んで俺達がいた地点めがけて走りよってくる。
グリムトゥースは力も抑えた、ただの足止めにすぎない。
クローキングで走りくる奴らの間をすり抜け、全てやり過ごした後に姿を現す。
「ベノムダスト!」
すぐ隣で声が響き、奴らの中心部分に赤い魔力を込めた石が二つ投げ入れられる。
地に触れて割れた赤い石から毒の霧が噴出して、ローグたちを一網打尽にする。
「ほう……毒使い由良か」
「そんな呼び名もあるな」
声音が凍てついているのがわかる。キレると俺よりも冷たくなる元同期。
「ローグと違ってアサシンは個人的な復讐で殺しはしないって聞いたがな?」
「お前には関係ない」
短く言葉を投げつける。
にぃと笑ったツヴァイクの姿が消える。
「ハイディングはなにもアサシンの特許じゃねぇぜ?」
流れる血。
目の前がくらむ。
忘れていた。ローグのスキルの一つ。バックスタブ。
ハイディング状態から繰り出される、一撃必中の技だ。
「はっ、やっぱりたいしたことねぇなぁ」
やかましい、黙れ……。
意識が薄れていく。
ぁあ、そんなに悲しむなよ……。悲しむのは、任務を遂行してから……。
そんな闇雲に腕を振るっても、届くわけない、だろ……。
至極冷静に戦況を見る俺。しかし視線に最も近いのは赤茶けた地面。
薄れていく意識。
なにかが、首をもたげる、感覚。
そいつは立ち上がった。
頭はうつむいたまま、全体にも脱力しきっているように見える。
五月蝿くかかってくるアサシンの背後で、強烈に放たれる、冷たい殺気。
「何処を見ている!」
カタールが俺の目の前より程遠いところを通過していく。
こいつは頭に血が上りすぎて気付いちゃいない。
俺が相手したいのは、あいつだ。
「どけ」
無造作に振った拳が相手の頬にクリーンヒットして、壁に叩きつけられる。
これでしばらくは静かになるだろう。
ゾクゾクする感覚。
そう、かつてにもこんな感覚を味わった。
「ひさしいな、湖斗夜」
相手は答えない。ただ、そこに立っているだけだ。
「シーフ時代はよく一緒に遊んだ仲だってのに……。 もう忘れられちゃったか」
もちろん答えなど返ってこない。強烈な殺気が身を刺すようだ。
影が消えて、一瞬後には俺の喉にジュルが突きつけられる。
突き刺される前に、バックステップで回避。しかし、背後にまた殺気。
半身だけひねってグラディウスで刃を止める。
「おっかないねえ、相変わらず……」
だからこそ、面白い。
力任せに刃を押し返して、構えを取る。
奴は相変わらずだらりと両腕を垂れ、ただ虚ろな眼差しで俺を見ている。
どんな強力なモンスターと相対するよりも。
こいつと相対する方が数倍怖ろしく、愉しくて、ゾクゾクする。
こいつが、ただの〝人〟じゃないから。
「愉しませてよ、湖斗夜」
ショルダーバックから血のように真っ赤な液体が入った瓶を引き抜き、一気に飲み干す。
一瞬、心臓に直接ユピテルサンダーでも食らったかのように、激しく高鳴る。
全身の力が抜けていく。
心臓の音がやたらうるさい。
「いくぜ」
口がつりあがるのが分かる。
相手は相変わらず構えない。
ルティエの寒気よりも、冷たい殺気。
一瞬の判断が生死を分ける。
どんなヤツを抱くより、ゾクゾクする。
「サイコーだよ、湖斗夜」
一撃一撃を受け止め、避けるたびに。
血が煮えているのが分かる。
こいつが女でなくて良かった。
女なら、こんな目をされても、なんとも思わないから。
女なら、こんな目をされても、屈服させるのは簡単だから。
タマラナイ。
快楽に酔った、一瞬の隙。
俺の身体に、やつの刃が埋まる。
「螢……」
やっと聞こえた、声。
否。声というよりは呟き。
最後の最後まで、お前はアイツしか見てくれないのか。
確かにアイツだけは……最期まで屈服させられなかった。
あの、忌々しいほど美しい金色(こんじき)をまとった女だけは……
「ちったぁ、こっちも見なさい、よね……バカ」
せめて、その胸板に傷の一つもつけないと気が済まない。
だらりとした腕から、刃が零れ落ちて。
指先が、彼の衣装をなぞって。
そして、俺が落ちる。
目が覚めたら、そこは家だった。
怜が泣きながら、俺に抱きついてきたりした。
曰く、洞窟のさらに奥で捕縛されていたプリーストが助けてくれたらしい。
そのプリーストこそ、怜の狩りの相方であり、婚約者であろう。
差し伸べられた左手の薬指に、銀色の指輪が光っていた。
怜は専門の医者に即日診せ、記憶を置き換え、身体も治してもらった、と言った。
本当はあまり頼りたくなかったんですけど、と笑った彼の顔は、変に幼く見えた。
俺は敢えて、彼に深く聞きはしなかった。
なんとなく、聞いてはいけない気がしたから。
否。あえて聞くことじゃない。
頭のどこかで、そう告げる声が聞こえた気がしたから。
ツヴァイクの一味は謎の壊滅、と号外が出されていた。ギルドの圧力だろう。
目の高さにまで自分の両手を掲げてみる。
まだ、手が自分のものではないようだ。
狂気……。俺が暗殺者に向かない最大の理由。
暗殺者を志し、初めてギルドマスターに会ったときにも言われた。
“お前は風になることは出来るし、そうなるべくして生まれた。
しかし、心を完全に殺さない限り、暗殺者としては認められない。”
遠く、声が響く。
分かっていた。スラムにいたときから、俺が異質だということは。
無意識に。子供独特の直感ってヤツだった。
本当は騎士のほうが向いている。それもわかっている。
でも。俺は……。
『無事そうだな』
いきなり頭の中に飛び込んでくる、声。
『おう』
『狂戦士、だったんだな。』
声が震えている。
『悪いな』
『謝るな』
素っ気ないフリをしようと努める声が返ってくる。
『報酬は枕元に隠して置いた。マスターが直々に置いていったんだ。受け取っとけ』
短く言葉を返して、枕元を探ると、確かにそこには分厚い封筒。と、手紙らしい薄い紙。
紙にはさらさらと流れるような文字で、マスターの言葉が綴られていた。
俺はそれを読み終わると、ベッドサイドに置いた灰皿の上で、その紙を炎に消した。
ギルド関係の手紙はどんなものであろうと、読み終えたら消滅させる。
新人時代に叩き込まれた原則が、俺にそうさせる。
怜があけたのだろう、窓から風が渡る。
柔らかな、風だった。
窓辺で、金色が笑っている気がした。
小さなコップに生けられた、可憐な黄色い花が、揺れている。
時系列いんでっくすに戻る
ポニーテールにまとめた髪が風に嬲られて踊る。
『よくきたな…… 怜には言ってきたのか?』
『いや、この前出ていったきり帰ってこなくてな。多分狩りに夢中になっているんだろ』
『そうか』
闇の中、交わされる念話。相手の冷たい殺気が風に混ざる。
『どうした。気が風を伝っているぞ』
『なに……お前と狩りをするのは久しぶりだな、と思ってな』
笑う声が頭に響く。
『お前は相変わらずだな。気配も殺気も感じない』
『このくらいしか芸がねぇからな』
念話で笑って答える。
気安い様子で向かうのは、砂漠の一角に隠れるように存在する洞窟。
『中では一味が酒盛りをやっているはずだ。一気に叩くぞ』
『おう』
入り口付近に立っていた見張り達を音も無く倒し、歩調も様子も変えず中へ入る。
馬鹿騒ぎの下卑た笑い声に混ざって女の泣く声が聞こえる。
この声は、聞き覚えがある。
『湖斗夜』
『ああ』
頭に響く声にも緊張が走る。相手にも聴き覚えがあるはずの声。
意識せず歩調が早まる。
すぐに開けた空間に出る。そこで行われていたのは、正に獣の宴。
一人の女を取り囲む屈強そうな男がざっと十人。その顔には漏れなく獣の笑み。
女は服をずたずたにされ、ほとんど裸という様子で嬲られている。
涙と汗と今までにかけられたらしい白い液で顔をぐしゃぐしゃにした黒髪の女。
それは間違いなく怜だった。
「おう、やっときたか。待ちくたびれたぜ」
怜を捨てるように地に投げ、そいつは悠然と身なりを整えながら俺達を見る。
「さすが螢の実の妹だ。良い女だったぜ」
にぃっと下品な笑顔を浮かべて、そいつは言った。
地に投げられた怜は息を荒くしながらそのまま動かない。
何かをブツブツ言っている。その呟きは、聞かなくても大体想像がつく。
「言い残すことはもうないか?」
俺の声が一気に冷え込む。怒れば怒るほど冷え込んでいく俺の心。
「おお、怖い。さすがかつては暗殺者ギルド最強最速を誇ったアサシンさまだ」
完全にバカにしている。おそらく俺が支払った対価を知っているのだろう。
他のローグたちもにやにやと笑いながらそれぞれの獲物を手にする。
ヤツラの獲物――精錬がかかったグラディウスが松明の火に映えて黒く輝く。
「やれ」
気安い様子でやつの号令がかかる。
土を蹴ってこちらに駆け寄ってくる男たちと、その手のグラディウス。
俺達は動かない。動く必要がないからだ。
俺達はギリギリまでバカな奴らをひきつけ、同時にハイディングを発動する。
「「グリムトゥース!」」
声が重なる。
疾風よりも速い衝撃波にささくれ立った地面が、ヤツラの足に、身体に刺さる。
「くっそ、なめんじゃねぇ!」
足を刺されたローグの一人が、叫んで俺達がいた地点めがけて走りよってくる。
グリムトゥースは力も抑えた、ただの足止めにすぎない。
クローキングで走りくる奴らの間をすり抜け、全てやり過ごした後に姿を現す。
「ベノムダスト!」
すぐ隣で声が響き、奴らの中心部分に赤い魔力を込めた石が二つ投げ入れられる。
地に触れて割れた赤い石から毒の霧が噴出して、ローグたちを一網打尽にする。
「ほう……毒使い由良か」
「そんな呼び名もあるな」
声音が凍てついているのがわかる。キレると俺よりも冷たくなる元同期。
「ローグと違ってアサシンは個人的な復讐で殺しはしないって聞いたがな?」
「お前には関係ない」
短く言葉を投げつける。
にぃと笑ったツヴァイクの姿が消える。
「ハイディングはなにもアサシンの特許じゃねぇぜ?」
流れる血。
目の前がくらむ。
忘れていた。ローグのスキルの一つ。バックスタブ。
ハイディング状態から繰り出される、一撃必中の技だ。
「はっ、やっぱりたいしたことねぇなぁ」
やかましい、黙れ……。
意識が薄れていく。
ぁあ、そんなに悲しむなよ……。悲しむのは、任務を遂行してから……。
そんな闇雲に腕を振るっても、届くわけない、だろ……。
至極冷静に戦況を見る俺。しかし視線に最も近いのは赤茶けた地面。
薄れていく意識。
なにかが、首をもたげる、感覚。
そいつは立ち上がった。
頭はうつむいたまま、全体にも脱力しきっているように見える。
五月蝿くかかってくるアサシンの背後で、強烈に放たれる、冷たい殺気。
「何処を見ている!」
カタールが俺の目の前より程遠いところを通過していく。
こいつは頭に血が上りすぎて気付いちゃいない。
俺が相手したいのは、あいつだ。
「どけ」
無造作に振った拳が相手の頬にクリーンヒットして、壁に叩きつけられる。
これでしばらくは静かになるだろう。
ゾクゾクする感覚。
そう、かつてにもこんな感覚を味わった。
「ひさしいな、湖斗夜」
相手は答えない。ただ、そこに立っているだけだ。
「シーフ時代はよく一緒に遊んだ仲だってのに……。 もう忘れられちゃったか」
もちろん答えなど返ってこない。強烈な殺気が身を刺すようだ。
影が消えて、一瞬後には俺の喉にジュルが突きつけられる。
突き刺される前に、バックステップで回避。しかし、背後にまた殺気。
半身だけひねってグラディウスで刃を止める。
「おっかないねえ、相変わらず……」
だからこそ、面白い。
力任せに刃を押し返して、構えを取る。
奴は相変わらずだらりと両腕を垂れ、ただ虚ろな眼差しで俺を見ている。
どんな強力なモンスターと相対するよりも。
こいつと相対する方が数倍怖ろしく、愉しくて、ゾクゾクする。
こいつが、ただの〝人〟じゃないから。
「愉しませてよ、湖斗夜」
ショルダーバックから血のように真っ赤な液体が入った瓶を引き抜き、一気に飲み干す。
一瞬、心臓に直接ユピテルサンダーでも食らったかのように、激しく高鳴る。
全身の力が抜けていく。
心臓の音がやたらうるさい。
「いくぜ」
口がつりあがるのが分かる。
相手は相変わらず構えない。
ルティエの寒気よりも、冷たい殺気。
一瞬の判断が生死を分ける。
どんなヤツを抱くより、ゾクゾクする。
「サイコーだよ、湖斗夜」
一撃一撃を受け止め、避けるたびに。
血が煮えているのが分かる。
こいつが女でなくて良かった。
女なら、こんな目をされても、なんとも思わないから。
女なら、こんな目をされても、屈服させるのは簡単だから。
タマラナイ。
快楽に酔った、一瞬の隙。
俺の身体に、やつの刃が埋まる。
「螢……」
やっと聞こえた、声。
否。声というよりは呟き。
最後の最後まで、お前はアイツしか見てくれないのか。
確かにアイツだけは……最期まで屈服させられなかった。
あの、忌々しいほど美しい金色(こんじき)をまとった女だけは……
「ちったぁ、こっちも見なさい、よね……バカ」
せめて、その胸板に傷の一つもつけないと気が済まない。
だらりとした腕から、刃が零れ落ちて。
指先が、彼の衣装をなぞって。
そして、俺が落ちる。
目が覚めたら、そこは家だった。
怜が泣きながら、俺に抱きついてきたりした。
曰く、洞窟のさらに奥で捕縛されていたプリーストが助けてくれたらしい。
そのプリーストこそ、怜の狩りの相方であり、婚約者であろう。
差し伸べられた左手の薬指に、銀色の指輪が光っていた。
怜は専門の医者に即日診せ、記憶を置き換え、身体も治してもらった、と言った。
本当はあまり頼りたくなかったんですけど、と笑った彼の顔は、変に幼く見えた。
俺は敢えて、彼に深く聞きはしなかった。
なんとなく、聞いてはいけない気がしたから。
否。あえて聞くことじゃない。
頭のどこかで、そう告げる声が聞こえた気がしたから。
ツヴァイクの一味は謎の壊滅、と号外が出されていた。ギルドの圧力だろう。
目の高さにまで自分の両手を掲げてみる。
まだ、手が自分のものではないようだ。
狂気……。俺が暗殺者に向かない最大の理由。
暗殺者を志し、初めてギルドマスターに会ったときにも言われた。
“お前は風になることは出来るし、そうなるべくして生まれた。
しかし、心を完全に殺さない限り、暗殺者としては認められない。”
遠く、声が響く。
分かっていた。スラムにいたときから、俺が異質だということは。
無意識に。子供独特の直感ってヤツだった。
本当は騎士のほうが向いている。それもわかっている。
でも。俺は……。
『無事そうだな』
いきなり頭の中に飛び込んでくる、声。
『おう』
『狂戦士、だったんだな。』
声が震えている。
『悪いな』
『謝るな』
素っ気ないフリをしようと努める声が返ってくる。
『報酬は枕元に隠して置いた。マスターが直々に置いていったんだ。受け取っとけ』
短く言葉を返して、枕元を探ると、確かにそこには分厚い封筒。と、手紙らしい薄い紙。
紙にはさらさらと流れるような文字で、マスターの言葉が綴られていた。
俺はそれを読み終わると、ベッドサイドに置いた灰皿の上で、その紙を炎に消した。
ギルド関係の手紙はどんなものであろうと、読み終えたら消滅させる。
新人時代に叩き込まれた原則が、俺にそうさせる。
怜があけたのだろう、窓から風が渡る。
柔らかな、風だった。
窓辺で、金色が笑っている気がした。
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詩柳耶琴
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自己紹介:
ラグナロクオンラインのアマツ萌え&自キャラによる人形遊びな実験的短編置き場
といいつつ、いろいろ詰め込んであります。
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