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絵とかなんとか色々置いておく場所です。
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もう、昔の話なのにな。

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「は?」

 プロンテラ大聖堂の執務棟。そこに宛がわれている俺の部屋は、一切の照明をかけていない。暗殺ギルドの人間がくるときの通例。
 いつもなら、聖堂との連絡のために訪れる使い走りを相手にするだけなのだが。
 今日は違う。

「三度も聞きなおすなよ、湖斗夜
 ギルドは、お前がアサシンクロスへ昇格することを望んでいる」

「俺は」

「わかっているさ。お前が暗殺者に戻ることはない。
 あの件にしても、依頼にしても。お前は、ただ暗殺者の真似事をしているつもりなんだろう?」

 あの件。上位幹部に名を連ねる同期の言葉が、少し震える。

「お前の思いなど、老体達には興味ないのさ」

 そっと。アサシンクロスの装束をまとった相手の手が頬に触れる。

「今 上位幹部に名を連ねている者の中には、お前に憧れてアサシンになった者もいる。
 もうお前を貶すものなどいないさ。湖斗夜」

 絶対零度と評される相手の切れ長の目が、珍しく水を多く含んでいる。

「もどってこないか、湖斗夜」

 暗闇に流れる、沈黙。

「……まぁ、そう簡単に戻ると答えるお前じゃないよな」

 触れた時よりもゆっくり。相手の手が離れていく。

「多分また来る。少し考えておけよ」

 闇の濃度が薄くなった気がして、相手の気配が消える。

「アサシンクロス、なぁ」

 照明のろうそくに火を付けなおしつつ、呟きが溢れる。
 俺がアサシンを引退させられて、ハイプリーストにまで登りつめて。
 それでも。

「もう、俺は風にはなれないっての」

 苦笑交じりに。
 執務机に座って青石を懐から一つ。
 青い魔石の端に映る炎の揺らめきを、ずっと見ていた。


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ラグナロクオンラインのアマツ萌え&自キャラによる人形遊びな実験的短編置き場

といいつつ、いろいろ詰め込んであります。

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